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「モバイルゲームのサウンド制作とPSEライブラリの活用について」 - 田中慎哉(株式会社gumiサウンドディレクター)

田中慎哉_gumi受付前

Pro Sound Effects 日本語インタビュー #2

日本のモバイルゲーム業界を牽引する企業の一つである株式会社gumi(以下「gumi」)同社ゲームの音に関する全ての制作を担うgumiサウンドチームが、ハリウッド映画や欧米の大作ゲームにも採用されている効果音ライブラリ「Pro Sound Effects Library」(以下PSEライブラリを導入しました。

今回のインタビューでは、国内モバイルゲーム会社の現状やサウンド制作、そしてPSEライブラリをどの様に活用されているかについて、gumiサウンドチームを率いる田中慎哉さんと柏木佑さんへお話しを伺いました。


 

(PSE)本日はインタビューの機会を頂きありがとうございます!まず始めに、gumi社とgumiサウンドチームの御紹介をお願いします。

(田中)弊社は主にモバイルオンラインゲームの開発・運営を行っている会社となります。その中で、サウンドチームが所属している開発スタジオは、主にオリジナル作品の開発・運営を行っているスタジオとなります。

また、サウンドチームは社内で1セクションのみということもあり、社内複数の開発スタジオで開発・運営しているプロジェクトへ横断的に制作対応を行うセクションとして業務を行っております。社内で開発・運営しているプロジェクトの数でいうと、サウンドチームの人数は非常に少ないですが、効果音の制作に特化したメンバーや、楽曲制作に特化したメンバー等、いずれも経験豊富なメンバーたちで構成されており、上手く連携をとって制作を行っております。

 

(PSE)普段はどういった種類のサウンドを制作されているのでしょうか。皆さんの制作環境についても教えて下さい。

(田中)ゲーム内で起こる様々な現象や処理、音声に関わる場面すべてです。例えば、キャラクターひとつひとつの動きであったり、魔法スキル等を発動する際のエフェクト、発光等といった現実世界では見られない表現に対してのサウンドを制作しております。また、ゲームのプロモーションに使用するPV等、映像のサウンド制作も行っております。

制作環境としては、メンバー毎のデスクがあり、基本的にはヘッドフォンを用いて制作を行っておりますが、必要に応じてモニタリングスペース(簡易的な音楽スタジオ)にて視聴を行ったり、スマートフォンに組み込んでの確認をしたりといった形です。今後の課題となりますが、本格的なサウンドスタジオを整備しなくてはいけないと思っております。

メンバーによって、使用しているプラグインの種類やシーケンサーが違う等ありますが、効果音制作という点においては、開発システムやミドルウェアの観点からWindowsをメインに、Steinberg社のNuendo/Cubaseを主に使用しております。

 

田中慎哉_自席01

サウンドスタジオ_01

 

(PSE)gumiサウンドチームが、PSEライブラリを導入するに至った経緯と理由について聞かせて下さい。

(田中)以前から、PSEのHybrid Libraryを使用させていただいており、音の種類、クオリティ、使いやすさ等、制作面で非常に助かっていることがひとつ大きく要因としてありました。

また、現在担当しているプロジェクトや、今後の開発において、新しい音が欲しいという思いも強く、今回『CORE Complete Bundle』へアップデートして使ってみようと思っております。


(PSE)日本やアジアでは、モバイルゲームのサウンド制作に求められるクオリティが変わってきているのでしょうか。またクリエイティブな部分に関してはどうでしょうか。

(田中)クオリティ面としては、非常に高くなっていると感じております。元々コンシューマーにおいても、サウンド制作を行ってきた経験からすると携帯ゲーム機の進化に近いように感じています。モバイルにおいてのサウンド制作面でのネックとしては、容量・スピーカーの質・再生処理時のメモリ等、色々とありますが、基本的にはハード面の性能に影響を受けるといっても良いのかなと思っておりそこが年々アップデートされてきている状況においては、当然サウンドのクオリティも上がり、また上げていく必要があると考えております。

クリエイティブな面でいいますと、表示される3D等グラフィックの表現が上がってきており、ゲームの内容にもよりますが、より写実的なサウンド表現が求められる場が増えてきている様に感じます。

 

gumi社内_02

(gumi社内の風景。とても開放的でクリエイティブなサウンドが生まれやすそうな環境に見えます)

 

(PSE)サウンドデザインに使用されるソフトウェア、そしてワークフローを教えて下さい。どういったツールをお使いなのでしょうか?

(田中)シーケンサーは主にSteinberg社のNuendo/Cubaseを使用しております。音源系のプラグインに関しては、主にNI社のMassive、Kontakt、Spectrasonics社のOmnisphere2、Xfer record社のSerumを使うことが多いですね。エフェクトプラグイン周りに関しては、iZotope社やWaves社の各種プラグインやAudio Ease社のAltiverb等、最近ですと、ujam社から出ているプラグインなども使ったりします。

ワークフローに関してですが、ゲームのサウンドデザインでいいますと、大きく分けて2種類あると思っておりまして

・ゲーム内に表示されているものの動きにつける音

・ゲーム内の処理に対してつける音

前者は、ゲーム内の動きを映像化し、シーケンサーに貼ってそれに対してサウンドデザインを行う形です。後者は、分かりやすいところでいうと、『ゼルダの伝説』で謎が解けた時のMEが該当するのかなと思っておりますが、ゲーム内での目的に合わせた音をデザインするという流れになります。

サウンドデザイン自体のフローとしては、制作する音毎に毎回違うのですが、近年担当するゲームの世界観はファンタジー世界をベースにした作品が多い為、そういった場合によく使う手法は、生音(フォーリー収録したもの等の現実音)とシンセサイザー音を混ぜて、エフェクトで加工して全体を馴染ませたり、ガラッと印象を変えたり等という方法を好んで使っています。こうすることによって、魔法等の現実世界では起きない表現に対して、現実的な音がしつつ、現実感がないという矛盾を解決出来たりします。

 

(PSE)PSEライブラリを導入してから、サウンドチームのワークフローの中で、何か大きな変化、驚き、新しい発見などはありましたか?

(田中)やはり音の種類が豊富な点と、音ひとつひとつのクオリティが高い点です。また、デザインする音に合わせて、こちらで編集や加工がしやすい点が大きく、制作面で助かっている部分ですが一番大きな点は、前述した通り種類が非常に豊富なので、毎回ライブラリのサーチをする度に新しい音との出会いや発見があり、制作にあたってのイマジネーションを受けることです。

 

(PSE)答えられる範囲でお願いしたいのですが、現在どういったプロジェクトで作業をされていますか?

(田中)現在サウンドチームで担当しているプロジェクトは、シミュレーションRPG『ファントム オブ キル』やタクティクスRPG『誰ガ為のアルケミスト』をはじめ、その他複数のプロジェクトの開発・運営に携わっております。

 

(PSE)gumiサウンドチームが、弊社のPSEライブラリを導入・活用して下さっている事を大変嬉しく思います。貴重なインタビューありがとうございました!

(田中)私にとって、Pro Sound Effectsは、自身の意識やイマジネーションを非常に高い位置に上げてくれる頼もしさと、傍らにいてくれているという安心感も感じることが出来る、相棒のような存在です。

これからも、 業界の最前線で走り続けているPro Sound Effectsから感覚を刺激する音を提供していただけることを願っております!

 


 

 


ファントムオブキルの情報はこちら:

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誰ガ為のアルケミストの情報はこちら:

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<株式会社gumiについて>

2007年6月13日設立。設立当初よりオンラインゲームの開発・運営を開始し、様々なプラットフォームに対しゲームの配信を行い、全世界3,800万ダウンロードを達成した『ブレイブ フロンティア』をはじめ、『ファントム オブ キル』『誰ガ為のアルケミスト』『クリスタル オブ リユニオン』等、数々のヒットタイトルを創出してきました。

加えて、今後市場の急拡大が見込まれるVR/AR等のXR市場、またブロックチェーン市場において、国内外の有力企業への出資を通じた関連企業の成長支援を実施するとともに、エクイティ出資を通じてコンテンツの開発にも注力しております。

詳細は公式サイトをご参照ください

 

<田中慎哉さんについて>

1982年生まれ。大阪府出身。地元の専門学校で作曲編曲・サウンドデザインを学ぶ。卒業後、フリーランスでの音楽制作・DJ活動を経て、ゲーム開発会社での制作を開始。『NO MORE HEROES』『地球防衛軍3』等、30本以上のコンシューマゲームや遊技機等幅広いプラットフォームでのサウンドデザイン/コンポーズ/ディレクション、仕様作成を行う。

2014年に株式会社gumiへ1人目のサウンド職として入社し現在も運営中の『ファントム オブ キル』『誰ガ為のアルケミスト』等のサウンドデザイン/コンポーズ/ディレクション、仕様作成を行いリリースに携わる。並行して、サウンド制作全体のワークフローやサウンドチームの確立を進める

近年は、サウンドチームのマネージャーとして、チーム管理と並行して、サウンドデザイン/コンポーズ/ディレクションを担当している。