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「Pro Sound Effects ライブラリの魅力と、ライブラリのこれから」 - 牛島正人(サウンドデザイナー)

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Pro Sound Effects 日本語インタビュー #1

東京を拠点に活動するサウンドデザイナー兼Sonologic Design代表、牛島正人(うしじま まさと)さん。今回のインタビューでは、牛島さんのサウンドライブラリに対する考え方、日本と海外のサウンドデザインの違い、ゲーム業界でのサウンドライブラリの需要について語って頂きました。

 


 

(PSE)インタビューを受けて頂き、ありがとうございます!まず牛島さんがPro Sound Effectsライブラリ導入をされた理由をお聞かせ下さい。

(牛島)私が日本のサウンドデザイナーとしてキャリアをスタートした2007年頃は、業界定番のサウンドライブラリをメインに使用しながら、プロジェクト毎に必要となる素材の野外収録・フォーリー収録を行い、それらを加工してサウンド制作を行っていました。

しかし、そのライブラリ自体がかなり古い製品であり、近年のプロジェクトに求められるクオリティと比較すると、どうしても「レガシー」感は否めませんでした。

そこで新しいライブラリを探していたところ、2013年頃にPro Sound Effectsの存在を知り、そのクオリティとサウンドの豊富さに感銘を受けたのです。それからすぐにPro Sound Effectsライブラリを導入しました。

 

(PSE)Pro Sound Effectsライブラリについて、感想を聞かせて下さい。

(牛島)Pro Sound Effectsライブラリは、世界中の多くの企業やスタジオが採用しています。皆さんがよく知るハリウッド映画やビデオゲームでも使用されている世界標準とも言えるライブラリです。

つまりPro Sound Effectsライブラリを導入するということは、素材自体が世界水準のクオリティを満たしていること、そこからデザインする自身のサウンドにも高い品質を期待出来ること、更にそのクオリティを基準とした判断力が身に付くということを意味します。そしてそれはサウンドデザイナーとしての成長にも繋がります。

コンテンツのグローバル展開が常識となった今、特にクオリティやテイストも含めて、ライブラリの幅の広さも重要になってきています。そこをPro Sound Effectsは最初から満たしてくれているので、作業を開始したら先ずPro Sound Effectsライブラリを立ち上げる、というのが私のワークフローではもうルーチンになりました。

 

 

(PSE)アメリカの大学に通われ、海外市場にも精通している牛島さんは、日本と欧米のサウンド文化に対する意識の違いについてどう思いますか?

(牛島)日本は撮影収録にあまり寛容ではない文化的風潮があるため、サウンドデザインという分野が発展しずらい環境であるのは紛れもない事実です。その点アメリカは銃規制もなく土地自体も広大なので、フィールドレコーディングなどが非常にやりやすいと思います。

そして欧米では、映像と音はどちらも同等に重要だと考えられています。しかし日本だと、音は制作予算の都合から縮小されやすい立ち位置にあります。オーディエンスに最高の体験を与えるためにも、それは変わっていかなければならない事です。

 

 

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(PSE)そういった状況であれば、何かを録音する必要のないサウンドライブラリのアドバンテージは高まってきているのでしょうか。

(牛島)もちろんです。その中でも特にPro Sound Effectsライブラリは突出したアドバンテージを持っていると思います。どれほどの人数がどれほどの時間をかけて作り出したのか想像すらできないほど、圧倒的な数とバリエーションがPro Sound Effectsのライブラリには含まれています。

限られた予算と時間の中で動かなくてはならないサウンドデザイナーにとって、素材を介して多くのインスピレーションを与えてくれるライブラリを持つことは重要です。それが結果通してクオリティの向上と結果に寄与し、次のプロジェクトの契約にも繋がっていくでしょう。

 

(PSE)牛島さんは特にゲーム業界で活躍中ですが、ゲーム業界でのライブラリの需要も聞かせて下さい。

(牛島)Wwiseというゲーム内にサウンドを実装するミドルウェアがあります。私は日本人として初めてWwise-101ライセンスとWwiseインストラクターライセンスを取得し、現在はAudiokinetic社のプロダクトエキスパートも努めています。

ゲーム制作はプログラムデータの塊です。ゲームサウンドでは、アセットの品質と同様に実装の品質も重要であり相互に影響を与えます。プロジェクトによって変動しますが、ゲームサウンドアセット制作自体は全行程のおよそ3割ほどで、他は実装作業やデバッグに時間が費やされます。

膨大な種類のアセットが含まれているPro Sound Effectsライブラリは、アセット制作効率を著しく高めてくれます。ゲームサウンド全体の品質向上に貢献するため費用対効果が非常に高いと思います。

 

(PSE)ゲーム業界ではVRも注目されていますが、その分野でもライブラリを使用されているのでしょうか。

(牛島)私はAmbisonic Field Recordistとして「Tokyo Ambisonic Library」「Shanghai Ambisonic Library」というライブラリの制作に参加しています。そのライブラリはPro Sound Effectsライブラリでも利用することができます。

VRの登場によりリニア・ノンリニアが入り混じるなか、Ambisonicsが再び注目され始めています。Pro Sound Effectsは早くからAmbisonicライブラリの構築に動き出し、私もライブラリ制作へ協力させて頂いています。

 

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(PSE)牛島さんにとって「サウンドライブラリ」とは何でしょうか。

(牛島)私の持論ですが『ライブラリを知る事は、サウンドデザイナーになる為に必須の理解』だと考えています。クラシック音楽を聴かずにヴァイオリン奏者になる人は殆どいないように、まさにサウンドデザイナーにとってのヴァイオリンはサウンドライブラリなのです。

サウンドデザイナーにとって、サウンドライブラリは歴史であり知識であり、サウンドデザインの教材と言っても過言では無い存在だと思います。

 

(PSE)最後にPro Sound Effectsについて何か一言お願いします。

(牛島)常に新しい音を探し続けるPro Sound Effectsは挑戦的であり、私が愛用する大きな理由の一つです。これからも新しい音の発見を、放送、映画、ゲームなどジャンルを問わず、あらゆるエンターテイメントコンテンツに携わるサウンドデザイナーにもたらしてくれることを期待しています。

 


 

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牛島正人(うしじま まさと)

Sonologic Design代表、サウンドデザイナー。
Audiokinetic株式会社プロダクトエキスパート

1980年生まれ。兵庫県出身。米国ボストンのバークリー音楽大学でMusic Synthesis科を専攻し、音響と音楽理論を学ぶ。卒業後に日本へ帰国し、WWEで約3年間サウンドデザイン、ディレクション、仕様作成、通訳を担当。

2015年にSonologic社を設立し、ゲーム業界を中心にサウンドデザイン、ディレクション、仕様作成も含め、音に関する全般的なサポート業務を行う。

近年は活動の幅を広げ、遊技機、アニメーション、CM、PV等のMA、さらに楽曲制作やボイスディレクションまで行っている。2017年3月より、Audiokinetic株式会社プロダクトエキスパート、デベロッパーズリレーションズに就任。

Sonologic公式サイト: www.sonologic-design.com