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音を使って無限のインスピレーションを与え続ける、INSPIONサウンドチームのインタビュー

Written by PSE | Jul 29, 2020 1:21:08 PM

Infinite Sound Inspiration」というビジョンの元に集結した、日本屈指のサウンドの精鋭たちが所属するINSPION(インスピオン)社。

今回のインタビュー記事では、INSPIONの東京本社と台湾支社にて多くの大作に関わられている3名のサウンドスタッフさんへお話を伺いました!

 

(PSE)始めまして!インタビューの機会を頂けて光栄です。まずは皆さん自己紹介をお願いします。

(中島)INSPIONのサウンドデザイナー、中島です。2007年からゲームオーディオの仕事をしています。

(安田)今年INSPIONに入社いたしました、サウンドデザイナー兼フォーリーアーティストの安田です。

(大内)台湾INSPIONの代表兼、サウンドデザイナーの大内です。台湾駐在2年目です。 

 

(PSE)次はINSPION社についてもお聞かせ下さい。

(中島)INSPIONはアジアを中心に展開しているゲームオーディオ専門のサウンドプロダクションです。ゲームオーディオ専門としては、日本国内でも最大規模となります。

大手ゲームメーカーで10年以上の経験を積んだサウンドクリエイター達を中心に結成されたサウンドチームで、コンシューマーゲームからモバイルゲーム、遊技機など幅広く手掛けております。

現在は日本と台湾の2拠点で制作スタジオを構え、連携を取って様々なゲームのサウンドを制作しています。

(INSPION東京オフィスの外観)

 

(PSE)INSPIONさんのホームページを見るとサウンド全般の業務を行われているようですが、具体的にどういったことをされているか教えて下さい。

(中島)楽曲、効果音の制作はもちろん、楽器や音声の収録、音声編集、ゲームへの実装など、ゲームのサウンド制作に関する業務は全て行っています。

これら一部のみを担当することもあれば、サウンドシステムの設計から実装~バグチェックまで、サウンドプロダクション全般を丸ごと請け負うこともあります。

クライアントさまのオフィスに出向させていただき、開発現場に入って業務を行うケースもございます。

 

(PSE)台湾スタジオも同じ様な業務を行っているのでしょうか。

(大内)はい、日本と同じくゲームのサウンド制作に関する業務は全て行っています。

スタッフは、中国語・日本語・英語の3か国語が話せるスタッフが多いので、台湾国内はもちろんのこと、中国、日本、また東南アジアのクライアント様ともお仕事をさせていただいております。

モバイルゲームの開発が多いですが、コンシューマーやヨーロッパ系のカジノゲームなど、幅広く制作しております。

日本のクライアント様から見ますと、やはりコスト面で有利なため、バリエーションの1つとしてご提案させていただいております。

(台湾オフィス内の風景)

 

(PSE)INSPIONさんでやられている効果音の業務について教えて下さい。

(中島)効果音のお仕事は大きく2種類に分かれます。ゲーム内効果音を制作するケースと映像に音をつけるMAのケースですね。

ゲーム内効果音とはキャラクターの足音や剣で斬る音など、ゲーム中で再生される効果音です。カーソル音や決定音など、いわゆるUI音をシンセサイザーを使って制作することもあります。ゲーム内効果音は記号的な側面もあり、これ一つでゲーム体験が大きく変わってきます。

ゲームの世界観によって気持ちの良い音は変わってきますので、クライアント様とご相談しながらより良いものに仕上げていきます。

もう一つのMA業務とは、頂いた映像に効果音をつけることですね。単純に音を制作するだけでなく、映像に合わせた演出をしっかり行います。例えば強力なボスの登場シーンでは、迫力のある音をつけることで「こいつ、強そうだな…」と思わせることができますし、悲しい場面ではキャラクターの心情を描くことで、プレイヤーが共感してより一層ゲームの世界にのめり込むことが出来ます。そういった映像の持つ魅力を存分に引き出せるよう心がけています。

もちろん、効果音を作るだけでなく、それを鳴らす仕組みも大切です。弊社ではADX2やWwiseといったオーディオミドルウェアを用いたインプリメントも可能です。過去にはタイトル1本丸ごと請け負って、全ての音の制作から組込みまで行った事例もあります。

詳しい制作実績はこちらをご覧ください。

日本語サイト: https://inspion.co.jp/works/

英語サイト: https://inspion.co.jp/en/works-en/

 

(PSE)社内ではどういった機材やソフトウェアを使って制作されているのでしょうか。

(中島)INSPIONでは特に決まりはなく、クリエイターがそれぞれ好きなDAWや機材を使っています。使用率で言うとProToolsやReaperが多いです。NuendoやLiveを使う者もいます。プロジェクトによってDAWを使い分けることもあります。例えばですがWwiseを使うプロジェクトであればNuendoを使う、というような感じですね。

(INSPIONスタジオ)

 

(大内)台湾チームは音声編集も効果音制作も全員Reaperで行っています。Reaperは自由にカスタマイズできる優位性を持つため、業務内容に最適化したアクションを作成し、ワークフローの共有・効率化を行っています。内容は企業秘密ですね(笑)

(中島)エフェクトで多いのはWaves社、Fabfilter社、ソフトシンセだとNI社の「Massive」や「Absynth」などを使っている人が多いと思います。

(安田)iZotope社のRX 7も欠かせません。Foleyの加工では重宝しています。

(Foley作業中の風景)

 

(PSE)INSPIONさんでは、PSEの効果音をお使い頂いてるとお聞きしました。ありがとうございます!ぜひサウンドクオリティに関しての御感想を聞かせて下さい。

(大内)音数はもちろん豊富なのですが、細かくカテゴライズされているのが良いです。需要の多いカテゴリは音数も多く用意されているので、とても助かります。メタルヒットのカテゴリなんて物凄い数ですよね。クラッシュやエクスプロージョンも現実音系の爆発音からWhoosh的に使えるものまで幅広く揃っていて、探す度に新しい発見があります。

(中島)社内でも爆発系SEの評価が高いですよね。社内で好きなSEのアンケートを取ったのですが、爆発系やクラッシュ音が多い。何故か弊社は建物が爆発したり、崩壊したり、派手なカットシーンを担当することがとても多いのですが、そういった面でとても心強いです。

(安田)全体的にデフォルメしすぎずリアルすぎず、いい塩梅の音が多くて使いやすいです。他にもフォーリー系の効果音は味付けされていない音が多いので、自分流の加工をして自分の色が出しやすいのはPSEならではだと思います。

(中島)魔法系のエフェクト音も同じ印象ですね。こういった音って派手過ぎたり、かなり色付けされることが多いのですが、加工しやすい音が多いので気に入っています。

(大内)変わり種も結構あって、意外なアイディアをもらえることがあります。レーザーの音など一つの波形に細かい音が多く入っているので、いろいろな用途で使えますね。

(安田)シネマティック系のサウンドも豊富なので、そういったタイトルを手掛ける際はとても便利ですね。細かい目立たない音から派手な音まで幅広いのでリアル系を手掛けるときには重宝しますね。

 

(PSE)ありがとうございます。他にもLibrary Accessを使ったサウンド検索の使いやすさはどうでしょうか?

(安田)波形表示とともに一緒にジャンルや説明書きがあるので、探している音を見つけやすいですね。 

(大内)Similar Traksでニュアンスの近いトラックが表示されるのも気に入っています。ゲームだと1つのアクションでもバリエーションを制作する機会が多いのですが、似ている音が表示されるのですぐに見つけられる。 単純に目的の音を探すときにも使えるので、イメージが近い音からSimilarTraksで探すと見つかりやすいかも 。

(中島)検索メインで使用しているとキーワードがワンパターンになりがちなのですが、サジェストされる音が新しい検索ワードの切っ掛けになったりして、そこから新しい音の発見に繋がったりするので便利です。

 

(PSE)インタビューどうもありがとうございました!今後もINSPIONさんの制作に貢献できるように良質なライブラリをリリースしていきたいと思います。

(中島)PSEは作品全体の質をワンランク上げてくれる存在ですね。ハイクオリティな音が幅広く揃っていてどれを選んでも間違いがない、選択肢の一つとして非常に頼もしいライブラリです。

検索ツールやタグの設定も優れているので、求めている音にたどり着くスピードが上がって制作効率も向上しました。これからもPSEを使って良い音を発信していきたいと思います。

株式会社INSPION(INSPION, Inc.)

「Infinite Sound Inspiration」というビジョンの元に設立された、屈指のサウンドのスペシャリストが集まったサウンド制作会社。国内外を問わず多数の大作プロジェクトに関わっている。

公式サイトはこちら: https://inspion.co.jp